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Gallery T.Hara  原 勉

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それは本当にフトしたきっかけから始まったのです。

私は制作に疲れてくると気休めに画集をパラパラめくったり、「次は何を食べに行こうか〜」などと食物系雑誌を開いて疲労を食欲のベクトルへと転換することが多いのです。

ある日のこと、リキテンシュタインの画集をパラパラした後に、グルメネタをチェックすべく寿司屋の紹介記事を見ると・・・「何だかリキテンシュタインのドットってイクラに似てるよね〜」との連想を得、実際に描いてみました。「しかし、しょせんこの手の作品はキワもの」と自己満足感のみ残して作品はおクラ入りする予定でありましたが、どーもこの作品、私にとっては《本物》のように思えてならないのです。

なぜならば・・・その後、いろんな作品を見るたびに「あ〜、この作品は○○に似てるよな〜」との連想がビールの泡のようにポコポコ浮かんでくるのです。さらに、あまり物を見ようとせず頭で考えて描くことの多かった私が、注意深く物を見るようになったのです。さらにさらに、私は普段からくだらないギャグ(これは言葉の引用とも言えます)を考えるのが大好きで、食い意地の張った卑しい系の人間なのだと改めて実感できたのです。つまり私を覆っていた常識という皮が剥けて、軽やかで新鮮な感性を取り戻すという精神的脱皮が完了したのです。

このカタチや色、意味の引用は《見立て》といって浮世絵などで度々使われてます。見立ては時間や空間を経て難解になったり実感を失ってしまった事物を、身近な要素に引用することでリアリティーを持たせる方法です。

古今東西の名作、神話をテーマにした絵や宗教画も造形は素晴らしくても、内容に関しては難解でリアリティーを持てないものが多くあります。自らの判断を欠いたまま「素晴らしいゲイジュツである」という刷込みによって受売りの価値を持ってしまうことには違和感を覚えます。もし作品の作り手と鑑賞者の間に共通認識や共感があれば、作品はもっと身近なものとして親しみを持てるのではないかと考えるのです。

常識や道徳・倫理など、先人がつくった《決まりごと》を再考し、自分の判断による《物の見方》を提示するのもアートの使命ではないかと感じています。これからも《今と昔》や《聖と俗》、《日常と非日常》の間を行ったり来たりしながら制作を続けてゆきたいと思います。


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